相続手続きに関わる時の視点

私は相続手続きに関わる上で、行政書士とファイナンシャルプランナーの2つの視点を常に持って見ています。

一般的な相続の法務相談にあたっても、お話ししている方の生活背景や資産に対する考え方を想像しながら、あるいは率直にお伺いしながら、対応するようにしています。

当事者の方々が遺産分割の協議を行う際にもご相談を受けることがありますが、例えば相続財産に株式あるいは賃貸不動産があった時に、相続して所有することになった場合のメリットやデメリット、またリスクや負担についてどの程度理解しているのか、必要ならばそれについての質問にもお答えしています。

相続は単純に財産を分割するというだけでなく、その財産を適切に管理・活用することが大事です。それが事業承継となればなおのことです。そうしたところまで見据えてお話しできるように心がけたいと思っています。

相続税対策より気にしておくこと?

「相続税対策」といって、「自分には遺せる資産が少ないから関係ない」という方が少なからずいらっしゃるかと思います。

ご存じのとおり、相続税には基礎控除という非課税枠があり、遺産が基礎控除より少なければ相続税の申告や納税が必要ないということになっています。また配偶者が相続した場合の控除や家族が居住している場合の不動産の評価特例などを考慮すると、相続税の心配がグッと減ることが多いかと思います。

ただ相続した状況によって、むしろ「その後のこと」に注意しておくケースがあるかと思います。例えば、相続した不動産が空き家となり、その後に売却するなどした場合、譲渡価額に対する税金のことを考えておく必要があります。

そうした時に特例や控除の制度を上手に利用できれば節税につなげることもできるのでしょうが、そのためにはそうしたことまで想定して対策が打てるかどうかが大事になってきます。

遺産が少ないから大丈夫という方でも、何か気になる事情がありましたら、専門家に相談していただけるとよいかと思います。

「相続」との出会い

いまは行政書士を生業としていますが、昔は税理士を目指すべく資格試験の勉強をしていました。

会計2科目と所得税・法人税いずれかの税法以外に、何の税法を選択するか考えて、どんな感じで問題が出題されるのか過去問をあさっていました。その時にとても興味が引かれたのが、相続税法でした。税法の基本である課税対象、課税標準額の算定、税額の計算などの他に、民法上の相続の規定を知ることになり、そうした全体を見た上でこれなら覚えやすいと思ったことが、いまにつながっているのかなと思っています。

結果的に税理士試験ではなく、その後にファイナンシャルプランナーの資格を取ったことで形にはできたかなと思っています。それによって、相続も「法務」の面だけでなく、お金全般の視点から見られる強みになったと感じています。

ごあいさつ

行政書士の飯塚重紀です。

相続手続きをお手伝いしてきた中での経験談や思うこと、その他業務に関わることをお話ししていければと思っています。